中国切手は、近年の切手市場において注目を集めているジャンルです。中国経済の成長によって裕福層が増え、投資やコレクションの対象として切手が再評価されたからです。そのため、状態が良好な中国切手は驚くほど高額で取引されるケースも少なくありません。この記事では、中国切手が高額になる理由と代表的な種類について解説します。
そもそも中国切手とは
切手の世界には、国や時代ごとに独自の歴史と価値をもつ品が数多く存在します。そのなかでも近年注目を集めているのが、中国切手です。一般的に中国切手とは、歴史的背景や当時の文化、政治状況を色濃く映し出した中国本土の切手を指します。美術的な魅力や希少性を備えていることから、とくに中国国内のコレクターが関心を寄せています。中国切手の種類
中国切手と一口に言っても、その種類は多岐にわたり、それぞれに独自の魅力と価値があります。ここでは、収集家の間でとくに知られている代表的な切手を紹介します。赤猿
中国切手の代名詞ともいえるのが、1980年に発行された赤猿です。正式名称は子ザルで、中国で初めて発行された切手にあたります。発行枚数が少なかったために、市場では高値で取引されてきました。愛らしいデザインと希少性から、コレクターに人気が高く、中国切手の象徴的存在となっています。
オオパンダ
中国を代表する動物であるパンダを題材にしたオオパンダシリーズも人気です。第1次が1963年、第2次が1973年に発行され、全6種類で構成されています。発行枚数が比較的多かったことから希少性はそれほど高くはありませんが、知名度は非常に高く、中国切手を語るうえで欠かせないシリーズとされています。
毛主席の最新指示
1968年に登場した毛主席の最新指示は、政治的な背景を色濃く反映した切手の代表例です。1枚でも数万円の価値が付きますが、5種連刷の形で揃っていれば数十万円の価値がつくこともあり、中国切手のなかでも高額取引が期待できます。牡丹シリーズ
芸術性を評価されているものとして、1964年に発行された牡丹シリーズが挙げられます。中国の国花である牡丹を題材に15種類が制作され、それぞれに異なる色や品種が描かれました。単体では数百円から数千円程度の買取額にとどまりますが、全種揃った場合には数万円規模となり、とくに小型シートは高額で評価されます。
中華人民共和国成立15周年記念小型シート
希少価値の高さで知られるのが、1964年10月に発行された中華人民共和国成立15周年記念小型シートです。発行枚数はわずか4万枚と少なく、現存する美品も限られています。そのため保存状態によって評価額が大きく変わり、市場でも注目されています。
梅蘭芳舞台芸術小型シート
中国切手のなかでも特別なプレミアが付いているのが、梅蘭芳舞台芸術小型シートです。1962年に発行され、京劇の名優・梅蘭芳の舞台姿を描いたこの切手は、文化的価値と芸術性の高さが評価され、100万円を超える高額で取引されることもあります。状態が悪ければ10万円程度にとどまるため、保存の良し悪しが価値を大きく左右する切手です。
中国切手はなぜ高いものが多い?
中国切手の価値が高騰している背景には、経済成長と社会情勢の変化、そして切手そのものの希少性が深く関係しています。まず大きな要因として挙げられるのは、中国経済の飛躍的な成長です。景気が上向いたことで多くの富裕層が誕生し、余裕資金を投資やコレクションに向ける人が増えました。中国切手もまた人気の的となり、多くのコレクターが参入したことで需要が急増し、価格を押し上げているのです。
もうひとつの重要な要素は、良好な保存状態の切手が極めて少ないという点です。1966年に始まった文化大革命では、切手収集が事実上禁止されました。さらに1967年以降は国外への切手の持ち出しも規制されたため、市場に出回る数は大きく制限されています。その結果、現存する中国切手は数が限られるうえ、うつくしい状態で残っているものはごくわずかとなったのです。
このように、中国切手が高額になるのは、単なる収集熱の高まりだけではありません。経済の成長による需要拡大、文化的背景による希少性、そして保存状態のいいものが少ないといった複数の要素が重なり合っているからです。
中国切手は歴史的にも数が限られており、状態のよいものは今後ますます入手困難になると考えられます。そのため、市場価値が下がるどころか、長期的にはさらに上昇する可能性があるといえるでしょう。
